上村みちよ市議(自民・東区)「15ページの事業295に通学路等の安全対策実施とありますが、安全対策として何を行われておりますか」
安全対策担当課長「従来、通学路の安全対策といたしまして、まず歩道や防護柵などの整備を重点的に進めてきており、歩道が物理的に設置可能な比較的広い通学路におきましては設置を進めているところでございます。一方、歩道の設置できないような狭い通学路におきましては、物理的に歩行者と自動車との分離を図ることが難しいため、一般の交通安全対策に加えて、路肩のカラー化や路面に『通学路』と表示する対策を進めており、ドライバーや通学児童へ視覚的に注意喚起を行い、通学児童の安全確保に努めているところです」
なぜ視覚的注意喚起だけなんでしょう。物理デバイスを利用するゾーン30プラスについて紹介されてはいかがでしょう。
エリア内では、自転車への注意を促す表示やポールが配置され、道幅が狭くなっています。実際に走ってみると、ポールが道路の両サイドに出現。道幅が狭くなり、スピードを落とすよう促す仕掛けになっています。
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名古屋市の調査によりますと、交通量は2%ほどしか減っていませんが、試験的に道路を狭くしたときの調査で、46キロあった最高速度が11キロ余り落ちて34.6キロになったという効果がありました。
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「paint is not infrastructure」は色を塗っただけの自転車レーンによく言われることですが、路側帯だって同じです。
上村市議「路肩のカラー化につきましては、以前から実施していると思うんですけれども、最近、横断歩道において緑色に着色している箇所を目にします。これは何の対策でされてるんでしょうか」
安全対策担当課長「横断歩道の両側を緑色に着色する対策につきましては、令和4年3月に瑞穂区におきまして、下校中の児童2名が死傷する事故が発生したことを受けまして令和4年4月に松尾副市長を会長とする『さらなる安全対策検討会』を設置し、有識者の専門的な助言をいただきながら、愛知県警察、国土交通省中部地方整備局とも連携し、安全対策について検討いたしました。 その中で、交差点をより手前から認知させるための対策のうちの1つとして、横断歩道の両側を緑色で着色する対策を実施することとし、対策箇所において、令和5年度から対策を進めております」
瑞穂区の事故はドライバーが「爪切りの中の爪をごみ箱に捨てることなどに気を取られて約8・8秒間脇見運転し、赤信号を見落として時速約50キロで交差点に進入した」ことによって発生したわけですが、それと横断歩道の着色がなんの関係があるというのでしょうか。まずはなにより通学路の更なる安全対策検討会でも指摘されたように「このような事故が二度と起こらないように、遵法意識の向上を目的とした新たな啓発活動に取り組」むことが肝要ですが、たとえ信号を無視したとしても重大事故が起きないよう、速度を出しにくい道路構造にする、さらには自動車そのものを減らすことで事故を減らすという視点での対策が必要です。短期対策としてなにかやらねば、と焦るばかりで中長期的な対策から目を背けることのないようにしていただきたいものです。河村市長もめずらしく
- 名古屋市は都市政策の中で、生活道路まで区画整理をしたことで、広い生活道路が多い。そのような道路では直線的にスピードが出せないように、もっと通りにくくすることが必要である。今回の本検討が、その第一歩と捉え、その一つの方策として、ラウンドアバウトがあると考える。
- 路面表示による対策は、交通安全上、効果的ではあるものの、抜本的な対策ではない。信号機を守 る前提の交通ルールは危険であり、道路でも物理的に車を遮断することを考えるべき。
- 「一人の子どもも死なせないナゴヤ」として、皆で取り組んでいきたい。
(令和5年1月24日 第3回検討会)
上村市議「対策についてなんですけれども、どういった場所を対象に行っておられますか」
安全対策担当課長「市内の通学路で、片側2車線以上の幹線道路を平面横断する箇所を対象に対策を行っているところでございます」
上村市議「幹線道路を対象しているとのことですが、生活道路で信号のない横断歩道において、ドライバーに横断歩道があることを認識させるための対策が必要ではないかと思うんです。他都市では横断歩道を緑色に着色し、視認性を高めている事例もあると聞いております。また、横断歩道手前に車が駐車されているような場合は、横断歩道を横断しようとする児童が見えず、危険な状態を目にしたことがあるため、横断歩道手前の駐車対策も何か考えられないでしょうか」
安全対策担当課長「検討会におきましては、同じような事故を発生させないために、幹線道路において検討を進めてまいりました。一方今まで、生活道路におきましては、いわゆる3点セットと言っている、十字等の交差点マーク、それから外側線のワイド化、道路照明の設置を実施しており、さらに交差点カラーなどの対策もやってきたところでございますが、今委員からご指摘あった通り、生活道路における横断歩道についても、児童が安全に横断できることが重要だと考えております。そのため、通学路で生活道路の横断歩道を利用する場合の、安全性を高める対策と対策につきまして、県警を始め、関係者と調整を行うとともにしっかりと検討してまいりたいと思います」
繰り返しますが、この文脈で、ゾーン30プラスを構成する各種物理デバイス(狭窄、シケイン、道路ハンプ、交差点ハンプ、スムーズ横断歩道、ライジングボラード)に言及がないのはちょっとどうかと思うところです。
上村市議「今、検討を進めていただくということで少し安心しましたが、信号交差点は信号機で守られてるわけですよね、通行者が。 今、私が申し上げたいのは生活道路なんです。生活道路の横断歩道は守られてないんです。そこでより一層児童がより安全に通学できる状況となり、交通安全に、どうかもう少し力を入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」
伊神市議「関連なんだけどさ。 令和3年に事故が起きて、それで安全対策として考えたというんだけれども、それは片側2車線の幹線道路、この時になぜ生活道路に安全対策が入らなかったのか、私は不思議でならんのだわ。信号機があるからって、そら信号機を守らなかんだよ。事故が起きたら信号無視なんだ。そこの時点で犯罪なのよ、これ。基本的には信号があるから、信号のあるところを青信号で渡れば絶対的な安全なはずなんだ。本来はね。それ犯罪が起きたわけ。 でも生活道路は犯罪じゃないんだわ。そこのところに、なぜこの時に目線が行かなかったか、私は不思議でならん。生活道路は何も守らなくていいって発想からこんなことが起きたのかな。その発想の原点を知りたいわ。教えてちょうだい。おかしいだろ。そんな」
安全対策担当課長「はいえ。 先ほど申しましたようにえ、検討会におきましては、同じような事故が起きないようにということで、起きた交差点信号があり、幹線道路2車線以上、という、その同じような条件のところを名古屋市内において、対策を行うということを決定いたしました。 一方今、委員からこうしていただきましたように、生活道路におきましては、我々としましては、先ほど申し上げました、繰り返しになりますが、3点セット。 それから、交差点カラー、こういった対策も行ってきたところでございます。ただし、今回ご指摘をいただきましたように、まだまだ至らない点があるというふうに、我々も認識しておるところでございますので、しっかりと検討していきたいと思ってるところでございます」
伊神市議「同じような、ってさ。通学路で、正直言って信号のないところで、全国的に、多くの児童が交通事故に巻き込まれとるんだよな。そういう観点からすれば、この信号交差点の事故の前に、生活道路での安全をどう確保するか、そのために土木がどんなことを検討するか、それ十分やってこなきゃいかんと思う。危険性は前から分かっとるんだよ、これ。だからこそ、地域に交通安全委員さんを置いて、その人たちが通学路の信号のない交差点でね、見守りをしとるんだ。 知ってるでしょ、そんなことは。どうやったらここの安全を図るために、同じような事故が起きたからじゃなくて、もっと前に、このことにきちっと目を向けるべきだと思うよ。で、それを目を向けてなくって事故が起きたから、信号交差点だけ守ってく、それはおかしくないか? きちっとそこ答弁してよ」
道路部長「委員のご指摘はごもっともでございます。通学路につきましてはですね、それこそ昭和47年から、全ての学区におきまして、通学路の安全対策検討会というのをこれまでやってございました。そういう中でですね。地元の方々とか、学校の関係者とかそういった皆様方からも、色々とご意見、それからご要望たくさんいただきまして、毎年ですね、交通管理者と連携、協力しながら必要な対策というのをやってきているところでございますけど、確かに今ご指摘のところがですね、抜けていたと言われることに関しましては大変反省しているところでございます。これからも引き続き警察としっかりと調整して、地元の意見、皆様のお話もしっかり聞いて、今後の取り組みについてしっかりと検討して参りたいと思いますので、ご理解賜りたいと存じます」
ここで述べられている「通学路の安全対策検討会」については名古屋市のサイトに資料がほとんど掲載されておらず、以前スポーツ市民局地域安全推進課さんにお願いして平成28年度から令和2年度までの実施結果を送ってもらったことがあります(また、令和3年度の結果が「更なる安全対策検討会」第1回の会議資料に含まれています)。そこにはたしかに横断歩道のカラー化という項目はないのですが、それ以外の各種対策は継続的に実施されてきたわけですから(実現した要望の割合が十分かどうかはさておくにしても)、そこまで言われなくても…という印象ではあります。
伊神市議「しっかり検討してもらいたい。でね、なぜ横断歩道があるか。どう思う。なぜ横断歩道があるか」
道路部長「それはですね、安全に、歩行者の方が通れるようにするため、一方ではドライバーにそれを明示して、通行の安全を確保すると、そういう目的でございます」
伊神市議「そうなんだよね。 で、歩行者にもよくわかるように、当然自動車に対しても、よくわかるように横断歩道が作られとるわけだ。だから自動車に対してよく目立つようにする、これ大事なことなんだ。 で今、上村が、今より目立つ方法はないのが、他都市事例でいくと緑を塗ってますよ。 その原点からすれば速攻これやるべきだと僕は思うのね。 今の横断歩道の原則から、原点から言えば。でね、他都市では、愛知県の近隣の都市だよ、そういう通学路の横断歩道ありますね、そう、その手前おそらく10~20mぐらい手前から道路に色塗ってんですよ。 ここに横断歩道があります。よって自動車が分かるように。そういうことまでしてね、通学路の子供たちを守ろうとしてるわけ。 で今お話を聞けると名古屋市は、信号交差点で事故が起きたから、同じような対策を取る。この、地域の横断歩道、生活道路の横断歩道が目線に入ってないの、今の答弁では。だから指摘をしたわけ。だからここは速攻ね。この政策の中に入れて。 何年でやるかと決めてもらいたいよ、本当の話は。 全くもって目線が大きな交差にしかないじゃないか。でも、ほとんどは生活道路の中でみんな生活してんだよ。入れてもらいたい。もう1度そこ答弁してくださいよ」
担当局長「今委員の方から生活道路における子供の安全対策、特に横断歩道をドライバーにいち早く認知させる提案をいただきました。確かに生活道路においての死亡事故、令和5年を見ますと、幹線道路なみの4割弱が生活道路で起こっている実態もございます。また加えまして、昨今では生活道路のスピード、警察の方も60キロから法定速度30kmに下げるというようなことで、生活道路における安全対策に非常に力を入れているという背景もございます。そういった中で、我々こう総合計画で掲げた幹線道路対策。 え、確かに一本抜けていたという風に反省しているところでございます。従いまして、今後生活道路の横断歩道をいち早く ドライバーに認知させるカラー化の対策につきまして早急に検討前進めて参りたい、しかしながら、市内に生活道路の横断歩道、相当数ありますので、えどういう順番でどこから進めていくのか、具体的な検討を早急に進めてまいりたいと思いますので、ご理解賜りたいと思います」
伊神市議「前向きなご答弁ありがとうございました。生活道路のね。横断歩道を全部っていうのもなかなか難しいと思いますので、やっぱ通学路、ここまず最優先で、カラー化していただきたい。これを要望して私は終わります」
うーん、やっぱりプロレスっぽいんですよね。横断歩道に関していえば、JAFがここ数年信号のない横断歩道における調査率の全国調査をしていまして、「調査場所は各都道府県内で2箇所ずつ」ということで偏りはあろうと思いますが、愛知県61.2%に対して長野県では84.4%という数字が出ているわけですから、まずはここまで上げることが最優先でしょう。令和5年中の愛知県警の道交法違反総検挙件数に対する歩行者妨害検挙件数の割合は9.2%でしたが、たとえばこれが千葉県ですと14.2%、岩手県では11.6%と、地域によって差があるのが実状です。名古屋市として、愛知県警に対して具体的な数字を挙げての取り締まり要請というのは差し出がましすぎるということでやりづらいのかもしれませんが、県警に任せっぱなしというのもおかしな話ですから、もっと働きかけがあってしかるべきです。
また横断歩道のカラー化が交通安全に寄与するかどうか、非常に怪しいものがあります。まず、この件を取り扱った学術論文らしきものはいまのところ出ていません。交差点のカラー化についてはありましたが、単に色を塗るだけでは効果はなく、他の規制との組み合わせが必要といった結論です。自治体によっては「横断歩道カラー化で事故が減った」的な発表をしているところもありますが、これも詳細を聞いてみると横断歩道「を含む路線すべての交通事故件数」であったり、カラー化に伴って大規模な啓発活動が実施されていたりして、なんとも微妙なところです。
前述の検討会や懇親会の資料を見ていると、名古屋市がとにかく自動車交通への影響を気にしているのがわかります。自動車関連産業従事者が多いということで、長らく自動車を最優先にする市政がまかり通ってきたのでしょう。しかし人間が政府を作って運用しているのは、誰もが幸せに暮らすためであって、そのためには弱い立場の市民を守っていく必要があります。多数派で強く声の大きい者の意見に従ってばかりでは、自治体の存在意義が疑われます。自動車というきわめて強力な社会システムの犠牲となる人をゼロにしようと真剣に望むのであれば、横断歩道に色を塗ろうなどという話をしている場合ではありません。
この訴えが、本稿をお読みになった方の心にわずかでも沁み入ることを祈っております。
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