四日市市自転車ネットワーク計画

三重県自転車活用推進計画によると、県内には自転車ネットワーク計画を策定済みの市町が3つあるらしく、四日市市はそのうちのひとつです。計画は市のウェブサイトには掲載されていなかったので、担当課にお願いして(行政文書請求手続きで)資料を取り寄せました。
また、整備済み区間についても情報をいただきました。

路線名整備延長
四日市中央線550m
堀木日永線1,900m
赤堀小生線2,780m
午起末永線1,440m

路線名は四日市市公開型GISというサイトで調べることができます。整備済み区間をマイマップに入力してみたものがこちら。
マイマップはGoogleストリートビューで自転車通行空間が確認できた区間のみ入力したため、赤堀小生線は1.4kmぶん、午起末永線は760mしか表示されませんが、少なくとも赤堀小生線は平成30年度予算案にて延長されたようです。

それではかんたんにコメントを。

こうしてきちんと整備効果を検証するのは大事ですね。さて、四日市中央線は、近鉄四日市駅前から東西に伸びる、側道を含めで8車線あるいわば目抜き通りなのですが、利用率75%の「西浦通~堀木日永線区間」だけは北側に対面通行の自転車道が整備されています。
それに対して利用率30%の市民公園前区間は自転車歩行者道となっていて、連続した区間であるにもかかわらず利用率にこれほどの差が出ています。また利用率15%前後の堀木日永線の整備手法は、車道の端っこにペイントしただけのいわゆる自転車走行指導帯あるいはナビラインと呼ばれるものです。

この調査結果をもって、整備効果が「自転車道>自転車歩行者道>自転車専用通行帯(実際にはただのナビライン)であるとするのはいいのですが、「平日よりも休日の方が自転車の通行量が多い」から「レクリエーション的利用の潜在性が高い」と判断するのはいささか性急にすぎます。ここで注目すべきは、平日と休日の自動車の通行量の違いです。平日は主な自転車利用者が走る通勤・通学の時間帯に大量のクルマが走っていて、自転車が使いにくい状況になっているはずです。それに対して、休日は平日よりもクルマが少ないか、そうでなくとも特定の時間帯に集中することがなく、自転車にとっては平日よりも安全に感じられ、それが自転車通行量の差となって表れているのです。
"You don't count how many people swim across the river to figure out where to build a bridge." - 橋をどこに架けるか決めるとき、泳いで川を渡っている人の数を数えることはしない。これは自転車にも同じように言えることです。いま自転車が走っていないのは、そこに橋、すなわち安全な通行空間が存在しないからなのです。

この整備形態の選定フローもすっかりおなじみになりました。「確保が可能か?」これは言葉のわりに難しい質問です。単純に「物理的に可能か?」でいえば答えは「Yes」に決まっています。車道を狭めればいいだけですから。でも、あなたが、あなたの上司が、都市計画を担当する他部署が、県警が、地域住民が、現状からの変化を望まず、あなたが彼らを説得できるだけの知識・信念・ビジョン・それを同じくする仲間・交渉術を持ち合わせていないと「No」と答えるしかなくなります。そして作られた自転車レーンやナビラインは、市民から見ればどう考えても危険きわまりないシロモノなので、そこを嬉々として利用するのはふだんから車道を走っているスポーツ自転車乗りだけになり、公共事業として景気をよくするのにちょいとばかり貢献して終わり、ということになります。そういう光景は日本じゅうでいままで何度となく繰り返されましたし、間違いなくこれからも続いていき、そうしてちっとも減らないクルマに誰かの家族が、友達が、殺されたり障害を負わされたりするわけです。

いいかげんそういうの、やめませんか?



あなたの町で人々がクルマに乗るのは、それがいちばん優遇されていていちばん快適・安全に感じられる交通手段だからです。自転車は健康にいい? 環境にも優しい? 健康や環境のために、クルマが横を通るたびにすくみあがったり、あるいは歩いている人をよけるためにゆっくり走らされたり、歩道と車道の段差でカゴに入れた荷物が飛び出さないように気を遣ったりしないといけないと? おととい来やがれ、です。
自転車が、1トンも2トンもある鉄の塊に跳ね飛ばされる心配をせず、気持ちのいいスピードを維持して走れる場所を作ってください。駐輪場がいっぱいで仕方なく罪悪感を感じつつ歩道に置いて次からはやっぱりクルマで来ようかしらなどと思わないですむようにしてください。そうすればみんな自転車に乗ります。

If you build it, they will come.

あきらめずがんばりましょう。

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